第1回
『コミュニティ・カーシェアリング』シンポジウム in 石巻 開催レポート

開会挨拶

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『コミュニティ・カーシェアリング』シンポジウム実行委員会
共同代表
竹中 徹

皆様おはようございます。只今ご紹介にあずかりました石巻専修大学の竹中です。開催側を代表いたしまして一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
最近、出張で関東方面に参りましても大手のコインパーキングの会社などが、「カーシェアリングをやっています」というのぼりを立てている風景が見受けられますが、本日私共がディスカッションしたいカーシェアリングは、そうした通常のカーシェアリングとは異なります。通常のカーシェアリングは「公共交通を補完するもの」と言われているようですが、「コミュニティ=共同体を活性化していく、あるいはそれをベースにしたカーシェアリング」といえるでしょう。
実は、カーシェアリングを石巻で開始された吉澤様と私の付き合いは、今年で6年目になります。
当初は東日本大震災後の混沌とした中で始まったのですが、2年ほど経った頃、ある年配の利用者の方のお話しを伺う機会ができ、「こんなに良い事、いい取り組みをやってもらって、仮設に入ってよかった。震災前はあまり人と新しい人と付き合うことがなかったが、コミュニティカーシェアを始めて仮設の中で付き合いが始まった。これまで行かなかったところに遠出するようになった」というお声をいただきました。
そのとき、コミュニティ・カーシェアリングは、コミュニティを活性化するだけでなく、現在石巻で問題になっている少子高齢化を打開する役割も期待できるのではないかと考えました。
このように、コミュニティ・カーシェアリングには、一般的なカーシェアリングの枠組みを越えるさまざまな可能性があると思っております。本日も、「コミュニティ」というキーワードを加えていただき、活発なご議論が頂けることを祈念しております。非常に簡単ではありますがご挨拶に代えさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

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石巻市長 亀山 紘

おはようございます。コミュニティ・カーシェアリングシンポジウムin石巻、開催にあたりまして、皆様ご参加いただきまして誠にありがとうございます。
アットホーム的な非常に小さな部屋で恐縮ではございますが、「コミュニティ」という名前にふさわしく、人と人の顔が見えるところでシンポジウムをして頂けるのではないかと考えております。
本日は、オーストリアのブレゲンツと石巻市で始まったコミュニティ・カーシェアリングの内容や、今後の見通し、将来どうあるべきかなどを、しっかりと議論して頂ければと思います。
さて、震災から間もなく5年と7ヵ月になります。この間、全国から、そして世界から心温まるご支援を頂きました。本当にありがとうございました。
一般社団法人日本カーシェアリング協会の吉澤代表を始めとする皆さまには、震災直後に石巻に入って頂きましたが、ちょうど2012年、震災から一年後の2月ごろには、仮設住宅の中で孤立化していく避難者の方々をどの様にどうするかが一番の課題となっておりました。そういった中で、コミュニティとカーシェアリングを結び付けた取り組みが始まったわけです。
当時、被災者の方々のコミュニティ形成のためにどのようにカーシェアリングを進めていくかが大きな課題でしたが、吉澤代表をはじめとして、仮設住宅のコミュニティ形成のために非常にご尽力をいただきました。
その後、昨年11月には、今度は仮設住宅から公営住宅へ移った方々のコミュニティをどうするかという議論が始まり、検討委員会が立ち上がりました。その中でスタートしたのが、湊の吉野町の復興公営住宅におけるコミュニティ・カーシェアリングです。
車で一緒に買い物をする、あるいは病院に行く、それから一緒に観光する、そういったことを通して、仮設・復興住宅に住んでいる方々が生きがいを持って生活できるようになり、本当に素晴らしい事業だと痛感しております。
現在、石巻市で地域包括ケアということをしておりますが、これは医療体制を確立して、どこに住んでいても医療が受けられ、自分らしい生活をできる体制、支え合える社会を作っていくというのが基本です。その中で今後ますます必要になってくるのが、交通体系です。
石巻市としては、人口減少社会にあたって、どこに住んでいても買い物ができる、あるいはコミュニティが作れる、病院へ通うことができるコンパクトなまちづくりを進めております。
石巻の中心部、駅を核としたコンパクトシティ化と、鮎川浜を拠点としたコンパクトな公設の機関、あるいは観光施設の集積…その拠点を結ぶ交通は公共交通で良いのですが、機関となる町の交通ネットワークをどうするかという問題に関しては、コミュニティ・カーシェアリングを通じ、交通弱者、医療弱者の無い社会を作っていきたいと思っております。また、今後の取り組みに関しましては、本日のシンポジウムの議論を参考にさせていただいて、新しい石巻の新しいまちづくり、社会を作っていきたいと思っております。
充実したシンポジウムになりますよう祈念いたまして、私からのあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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宮城復興局石巻支所長 加藤 輝雄

只今紹介いただきました宮城復興局石巻支所長の加藤輝雄でございます。
本日は宮城復興局長の武政功より挨拶文を預かっておりますので、私の方から代読させていただきます。
第一回「コミュニティ・カーシェアリング」シンポジウムin石巻の開催にあたり、ひと言ごあいさつ申し上げます。はじめに主催者であります一般社団法人日本カーシェアリング協会をはじめ、本日ご参集の皆様におかれましては、日頃より東北の復興に精力的に取り組んでいただいていることに改めて感謝申し上げます。
一般社団法人日本カーシェアリング協会では、震災直後よりカーシェアリングを通じて被災地支援を続けられており、今では被災者がコミュニティ単位で運営する市民カーシェアリングとして定着していると伺っております。また、新たな取り組みとして、復興公営住宅の太陽光発電とEV、カーシェアリングと組み合わせた地域コミュニティ活性化のモデルづくりや、今年4月の熊本地震に際し、いち早く現地に赴き、被災者や支援団体等に車両を提供されるなど、震災からの復旧・復興の進展と地域の発展に心力されているところであります。
石巻市における活動は震災復興を契機として、被災地の地域課題を克服し、被災地の自立につながる取り組みであるとともに、他地域への復旧・展開が期待されることから、復興庁では、地域支援自立事業として支援させていただきました。復興庁といたしましても、一日も早い復旧・復興に向け様々な取り組みを加速化し、すべての地域住民の方々が復興・創生に向けたスタートラインに立つことができるよう、今後も支援して参る所存です。どうぞ引き続き皆様のお力添えをよろしくお願いいたします。
最後に、本日のシンポジウムがこれまでの知見を皆様方で共有する場所となり、更なる復興の加速につながる有意義なものとなる事を祈念いたしまして、宮城復興局からのご挨拶とさせていただきます。
本日はよろしくお願いいたします。